こんにちは!茶道男児です!
本日は著者石川雅俊氏【大切なことはすべて茶道が教えてくれる】のレビューになります。
日本に生まれたみなさんにとって「茶道」はぼんやりとイメージできるけれども、
具体的な所作や考え方、効能について知っている人は少ないんではないでしょうか?
そんなみなさんに、日常生活や仕事で活かせる究極の方程式をお伝えいたします。
特にビジネスにも生きてくるヒントが凝縮されてますのでとても学びになる本です!
5分で内容が分かるようにまとめてみましたのでサクっと読んでみてください。
この本はこんな人におすすめ
・成長意欲の高いビジネスパーソン
・茶道に興味がある人・始めようと考えている人
・新しい趣味を探している人
・センスや美意識を高めたい人
・日本の伝統文化を海外に発信している人
それでは早速みていきましょう!!!
現代のビジネスパーソンをサポートする”茶道の効能”
物がないスッキリした空間が、頭と心を浄化し「余白」をつくる
あなたは茶室についてどんなイメージを持っていますか?
モノが少ない、薄暗い、厳かな空間などいろんなイメージがあると思います。
どれも正解で、茶室に入るとどこか寂しい感覚をもつかもしれません。
無駄なモノがなく、どこか神聖な空気が漂っている気がしてきます。
これは茶道特有の「マイナスの美学」が貫かれているからです。
余計なものを削ぎ落とし、意味のあるもの、役割を帯びたものだけを存在させ、
「余白」をつくり、かえってその価値を際立たせているのです。
「余白」をつくることで思考を整理し、集中するといった効果もあります。
最近は”ミニマリスト”という言葉もよく見かけるようになってきました。
生活に必要な最低限のモノしか持たない人のことを指しますが、それも「マイナスの美学」が取り入れられていると言えます。
「余白」をもつことで、本当に大切な人やモノに気づくことができるよ
茶室で過ごすスマホ厳禁のひとときが効果的な「デジタルデトックス」になる
現代人にとって意識を集中させる上で最も排除すべきが”スマホ”ではないでしょうか。
スマホは我々の生活をとても便利にしてくれた反面、健康上の観点から見る節度を持つことも大切な事です。
しかし現代では仕事でもプライベートでも、スマホを片時も離さない・離せない人が多数派であると思います。
そんな中、「スマートフォン症候群」、「デジタル機器症候群」など不調を抱える方も多く
ビジネスパーソンのトレンド疾患であるとも言えます。
ではどうすればいいのか。最も効果的なのはデジタル機器を使用しない時間を持つこと。いわゆる「デジタルデトックス」と呼ばれているものです。
しかしこれは頭で分かっていてもなかなか実践する事は難しい事ですよね。
でも茶道はそのサポートをしてくれるんです。通常、茶会はもちろんのこと、稽古であっても茶室にはスマホを持ち込む事はNGです。
これはもちろん同じ空間をともにする相手への配慮や、繊細な体験を味わうためともいえるでしょう。
いずれにせよ、茶道は半ば強制的にデジタルデトックスの環境を作ってくれるのです。
人間は案外弱くてルーズな生き物であることを認識し、自ら意図的に環境を作る事が重要です!
茶道以外にも散歩や筋トレなど、趣味に没頭する事はとてもいいデジタルデトックスになることでしょう!
いつもと違う「リラックスした集中状態」が発想力と感性を高める
あなたは集中している状態に2つの種類があることを知っていますか?
簡単にいうと、緊張した集中状態とリラックスした集中状態です。
普段仕事に追われている時、人は思考をフル稼働させた緊張した集中状態にあります。
一方で茶道の稽古中には思考活動が低下した、リラックスの集中状態にあるといえます。
この茶道によって生まれる集中状態には、いつもとは異なる能力の発揮につながるとされています。
この違いは脳波で見ると分かりやすく、大きく5つの段階に分類されています。
<脳波の5分類>
①デルタ波(0.4~4ヘルツ):深い睡眠状態。意識はなく話しかけても目覚めない
②シータ波(5~6ヘルツ):浅い睡眠状態。瞑想状態。
③アルファ波(7~14ヘルツ)
スローアルファ波:思考活動は不活発。深いリラックス状態。
ミッドアルファ波:思考活動はやや活発。リラックスした状態。
ファストアルファ波:思考活動は活発。やや緊張した状態。
④ベータ波(15~26ヘルツ):通常の活動時の意識状態。
⑤ガンマ波(27ヘルツ以上):怒り、不安、恐怖などによる興奮状態。
この分類によれば、仕事中はおおよそベータ波の状態で、茶道の稽古中は、一般的にファストアルファ波からミッドアルファ波の状態にあると考えられます。
このミッドアルファ波の時は充分にリラックスしながら、思考活動は低下した状態で保たれているため、型にとらわれない斬新なアイデアが生まれやすいとも言われています。
このように茶道は脳波の数値から見てもひらめきや発想力が発揮しやすく、健康にもビジネスにも有効である事がよく分かります。
かのスティーブジョブズが茶道を愛したのも、意図的に斬新なアイデアが生まれやすい状態を作るためだったのでしょう。
記憶力と直感力が冴え、仕事のパフォーマンスが向上する
先ほど紹介した5つの脳波の中に、シータ波というのがありました。
このシータ波ですが、記憶を司る脳の海馬と密接な関係があるとされており、
記憶力や学習能力は向上することが確認されています。
シータ波の自然な発生としては、睡眠時にあらわれ、眠りに入る前後にはアルファ波とシータ波が入れ替わるように発生しています。
これを最もシンプルに生じさせるのが「瞑想」ですが、これは思っているよりも案外難しいものです。
じっと座っているだけではダメで、雑念を抑え思考を停止した深い瞑想状態になる必要があります。
思考を断ち、五感に意識を向け、「今、この瞬間」に埋没することで近い状態に入ることができます。
茶道のお点前でも同様の感覚があり、もともとは座禅によって悟りへ近づこうとする成り立ちが見えてきます。
さらに私が最も気になる効果は「直感力」のアップです。
ちなみにここでいう直感とは、単なる思いつきではなく、知識や経験にという根拠に基づいて無意識に弾き出されるひらめきを指します。
言い換えると、直感は頭を活発に使い、論理的に物事を考えている時には発揮されない力であるとも言えます。
落ち着いた空間で心を鎮め、今に集中する。そして思考を停止し、五感を目一杯に感じ自分の世界に没入していく。
この稽古こそが、記憶力や直感力を高め、仕事のパフォーマンスを向上させる方法ではないでしょうか。
私は「今」にフォーカスを当てる生き方を実践する為、日々鍛錬しています。
美しい思考・決断・行動へ導く”茶道の美意識”
「型」に「精神」をともなわせることで品格が生まれる
茶道の所作には「型」があることをご存知でしょうか。
また茶道がなんだか堅苦しいと感じる方はこの「型」からくるイメージなのかのしれません。
茶道にはお辞儀から、立ち方・座り方、茶室の入り方やお手前などさまざまな所作に「型」が存在します。
茶道の所作は無駄がなく合理的ですが、単に合理的性を追求したものではありません。
そこには人や物、交換、自然への敬意や感謝という意図が存在しています。これは茶道のすめての所作にみられる「精神」です。
こういった意識を学んでいくことにより、日常生活でも敬意を持った所作を行うことができるのです。
何事も技術を体得するには、まず型を忠実に抑えることで次のステップへと進むことができるのです。
さまざまなヒト・モノ・コトに潜む繊細な美を見出す感性が磨かれる
あなたは美しいものと聞いて何を想像するでしょうか。
美しい花や美しい景色など目に見える存在
一方で美しい心や美しい判断など目には見えない存在など正解はひとそれぞれです。
その自分が感じた感情を言語化したり、噛み砕くだいて落とし込むためにはある程度の訓練が必要であると言えます。
決して答えがあるものではありませんが、一つの真実として、茶道具に触れたり、書画や茶花などに接することで個人の趣味や嗜好を超越した厳然たる「美の秩序」が感じられるようになります。
何がどう違うのか、なぜその違いが美を宿したり宿さなかったりするのか。
それらは理論的に考えても答えは出ないように思います。
言語化すると「感じ取る」という表現が適切でしょうか。
このように思考を離れ、美しいものを味わい続けることによってのみ、美を感じ取り、美を創造する力が養われていくのでしょう。
私が好きなアメリカのエンジェル投資家ナヴァル・ラヴィカントさんは次のように言っています。
【人生を成功させるために判断を磨け。自分が美しいと思う判断基準で。】
私も引き続き鍛錬を行い、自分にとって美しい判断を増やしていきたいです。
美しい判断を行う上でのコツは、違和感があったら放っておかず
しっかりと向き合うようにしていることだよ1
時代が求める「デザイン思考」「アート思考」が育まれていく
世界的な変化の激しい時代にもあって、企業のビジネスパーソンに求められる思考も変化してきていることを感じているでしょうか。
これまでの新卒研修では、論理的思考によって合理性や緻密に行動を実行していくこと、またあらゆることを言語化し理解・分析することが必要であるとされてきました。
私も新卒研修で論理的に問題解決を実践するカリキュラムを組まれたいたことを覚えています。
そんな中、不確実性が高い環境において論理的思考のみでは対応できない事象も多くなってきている状況です。
そこで「デザイン思考」の必要性が提唱されているとともに、新たに「アート思考」も活用が求められてきているのです。
簡単にそれぞれの思考法について見てみましょう!
・論理的思考法
対象をさまざまさ要素に分解し、フレームワークなどを用いて分析を進め、課題の解決策を見出す思考法。
・デザイン思考法
数値的な分析と組み合わせ、対話やフィールドワークなどの体験を重要なデータにする。デザイナーやクリエイターが作品を創作する思考法を活用し、ビジネス上の問題解決を図る思考法。
・アート思考法
0→1を生み出すアーティストが行なっている、自由でオープンな発想法と創造手法をビジネスに活かす思考法。
2004年に世界的ベストセラーになった書籍「ハイ・コンセプト」の著者ダニエル・ピンク氏はこれからの時代、MFA(美術学修士)がMBA(経営学修士)に取って代わるという未来予測を示唆しています。
つまり。今後の社会では経営学で身につける分析的なスキルよりも、芸術学によって身につく統合的・直感的なスキルの方が需要が高まってくると主張しているのです。
実に20年が経過した現在を見ると、まさにそのような世界に変わりつつあります。
一見、茶道は型に縛られていると捉えられアートと相反しているように思われますがそれは間違いです。
まずはエゴを脇に置き、教えられた型を真似てその状態を経験していくことで、おのずとその型に内包されている精神を体得できるのです。
言い換えると「精神」という深い学びを、言葉を通じてではなく、自分の内側から理解していく学習法なのです。
まさにこのような「非・言語」「脱・論理性」なスタイルは、アート思考が求めているものなのです。
茶道がビジネスで要求される最新の思考法にリンクしているとは私も驚きですが、
500年もの間、時代がどんなに変わろうと継承されてきた背景を鑑みると納得できるものです。
昔から言われている健康法や普遍的なスキルは、
時代が変わろうと揺るがないものであると再認識しました。
教養として身につけたい”茶道の話”
「茶禅一味」、茶道と禅の密接な関係
茶道をApple創業者スティーブ・ジョブズが好んでいたことは有名な話でしょう。
また禅の基本的な坐禅を、毎日のルーティンとして取り入れている成功者は数えきれないほどいると聞きます。
そして「マインドフルネス」とともに、本来の禅を行う海外のビジネスパーソンは近年増加傾向にあります。
前章で述べたアート思考に役立つことが理解されているからであると言えます。
禅はそもそも、6世紀に中国に渡来した南インド出身の菩薩達磨という僧侶が伝えた精神統一術のことで、日本には13世紀の鎌倉時代に中国で学んだ道元が伝えたとされています。
そして時は流れ、室町時代の幕府のもと、発展してきたとされています。
日本で「禅宗」という場合、曹洞宗、臨済宗、黄檗宗を指しています。
これが欧米社会に広まったのは、日本の仏教学者で禅修行者の鈴木大拙氏、そして僧侶の鈴木俊隆氏が英文の書籍を出版し活動を行ったことが由来するとされています。
冒頭で触れてスティーブ・ジョブスは、若い頃から精神世界に興味を持ち、当時アメリカで流行っていたヒッピー文化に傾倒して、瞑想を学んでいたりしたそうです。
そんな彼が作ったスマートフォンには禅の影響が随所に現れています。
まずシンプルで機能的な美しさである「マイナスの美学」を追求した洗練が実現されています。
また彼はマーケティングを一切行わず、坐禅によって自分と深く対話し、真に望むものを商品として生み出したとされています。
まさに現代に強く求められているアート思考であると言えます。
このような茶道と禅の関係は「茶禅一味」と表現され、茶と禅の本質は同一である、二つは同じ境地を目指していると言われています。
まだ私も腹落ちできるまで追求できていませんが、稽古を真剣に重ねることによって理解できていくと考えています。
私が茶道を始めたきっかけの一つに、なぜ多くの成功者が茶道に没頭したのかという疑問がありました。稽古を重ねながら自分なりに紐解いていきたいテーマです!
茶道の歴史の「あらすじ」を知る
日本における抹茶の始まりは次のように伝えられています。
鎌倉時代に南方禅を学ぶために壮時代の中国に渡った栄西が、禅宗の知識とともに茶の木の種を日本に持ち帰った。その種を植えたところ今でも茶の名産地として数えられる京都の宇治で茶園が広がり、お茶を飲む習慣が世に広まったとされています。
また栄西は鎌倉幕府三代将軍源実朝が二日酔いで苦しんでいるときに、一服の茶を献上し不快な症状を癒したとされている。その際に抹茶の効能や飲み方を記した「喫茶養生記」も献上。さらにこれを世間にも広げたことが抹茶文化の始まりとされている。
上記が多く認識されているものですが、茶道の歴史については諸説あることも念頭に置いておきましょう。
鎌倉時代の末期になると、中国(宋)から伝わった抹茶の遊び方が、公家や武士を中心に大流行しました。一般に「闘茶」と呼ばれているものです。
闘茶は決められたお茶と他のお茶の飲み比べて正解を当てる利き茶の一種です。
この頃から茶の供給量も増え、お茶を背負って売り歩く「荷い茶」がでていたと言われています。
室町時代中期から、茶道は大きな変貌を遂げていきます。能阿弥に書院茶を学んだ村田珠光は、大徳寺の一休宗純から学んだ禅の精神を取り込み、また庶民が行なっていた地味で簡素な様式を組み合わせて「侘び茶」の歴史を完成させました。
そして村田珠光が亡くなったその年に、もう一人のキーパーソン武野紹鴎が境の豪商の家に生まれます。
彼は京都で村田珠光が作り上げた侘び茶を習得すると、さらに大黒庵を開き深めていきます。
そして茶道は安土桃山時代にに入ってから、千利休によって「侘び茶」として完成されます。これが今日の茶道の礎になっているものです。
この千利休は多くの変革を行い、その後の茶道の発展に多大な影響を与えた人物と言えます。
利休はこれまであらかじめ茶室に飾ってあった茶道具を、あえて点前の最初に運び入れる「運び手点前」を始めました。これは当時、モノばかりに価値を置いていたためであり、お点前を通じて主客が精神の修養に没頭できるようにしたとされています。
利休は「侘び茶」「草庵の茶」の完成車として歴史に名を刻み、今井宗久、津田宗久とともに「茶湯の天下三宗匠」とも称されています。
しかし驚きうことに利休が独創的な作法を生み出したのは亡くなるまでのたった10年間であったといわれています。それまではひたすらに先駆者たちが築き上げた型に専念していたのです。
その後「利休七哲」と呼ばれる弟子たちを中心に、今はさまざまな流派に分かれて継承されてきているのです。
茶道を習うにあたって、礎を築いた先人方の想いや考えを学ぶことは
体得する上で重要な要素の1つだと思います。
まとめ
さあいかがだったでしょうか。少しは茶道が持つ効能や今を生きるヒントは得られたでしょうか。
私はこの本を読んだことで、茶道の世界に脚を踏み入れるきっかけとなりました。
なぜ500年もの間続いてきたのか?
なぜかの有名な成功者たちは茶道に魅了されたのか?
どのように自分の人生を豊かにすることへ結びつけるのか?
いろんな興味や疑問が湧いてとてもワクワクしています。
今はまだ答えは見つかっていなくても、稽古に真剣に向き合い続けていくことでいつか自分なりの答えが出せればと思っています。
みなさんもこの奥ゆかしき茶道を体験し、新たな自分を探しにいく旅はいかがですか。
それではまだ次回、達者でな!